津波から逃げるときに覚えておきたい人間の心理

ラーメン屋さんが二軒並んでいて、片方のお店に行列ができていて、もう片方のお店は閑古鳥が鳴いていたら、人は間違いなく行列のできている方のお店に並ぶでしょう。これは、心理学で証明されてる「社会的証明」という性質によるものです。

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

私たちは他人が何を正しいと考えているかにもとづいて物事が正しいかどうかを判断する、というものです。

この原理が特に適用されるのは、正しい行動が何であるかを私たちが決める時です。

特定の状況のもとで、ある行動を遂行する人が多いほど、それが正しい行動だと見なすのです。

人は自分では決断せずに、常に周りの出方を伺いながら行動します。自分の行動を省みても、その通りです。

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人の心理を操る強い力

本書にはいくつかの心理学的な法則が紹介されていますが、この「社会的証明」が一番怖いと感じました。なぜなら、誰でも簡単に利用できるからです。冒頭のラーメン屋さんの話だと、行列に並んでいる人が全員「サクラ」である可能性もあるわけです。

もちろんそんなことがバレたらお店の信用が一気に失墜してしまいますので、現実にはありえません。しかし、オーダーを遅らせたり、席数を調整して、意図的に行列ができやすいようにコントロールすることは可能です。


Main street of Gruningen / Tambako the Jaguar

長い間、彼女は叫び声を上げ、苦しんでおり、いわば公の事件だったのです。殺人者は35分の間に三回路上で逃げ惑う彼女を襲い、ついにはそのナイフで、助けを求める彼女の叫び声を掻き消しました。

信じられないことに、38人の隣人たちは、アパートの窓際という安全なところから見ているだけで、警察に電話をかけることすらしなかったのです。

アメリカで、住宅街の中で殺人事件が起きました。助けを呼ぶ大きな叫び声が、近隣にも響き渡っていたのにもかかわらず、誰も行動を起こさなかったという、恐ろしい話です。

助けられそうな人が他に何人かいれば、一人ひとりの個人的な責任は少なくなります。

「たぶん、誰かが助けたり、そうでなければ助けを呼んだりするだろう。もうそうしているかもしれないな」

他の誰かが助けるだろう、もう助けてしまっただろうと皆が考えてしまうので、結局誰も助けないということになってしまうのです。

実際に目の前にある惨状を見ても、お隣さんも何もしていないから、たいしたことではないのだろうと、自動的にスイッチを切ってしまったのです。私も実際に同じ状況にいたら、行動を起こせるかどうか自信がありません。


津波警報 / G4GTi

大津波警報の体験

東日本大震災が起きたとき、私の住んでいる静岡県の沿岸部にも大津波警報が発令されました。テレビでは宮城県の名取川周辺の津波の遡上の様子、あのビニルハウスや住宅をドンドン飲み込んでいったNHKの映像が、繰り返し放送されていました。

我が家は地震の10日前に引っ越してきたので、海からの距離も、避難所の場所もわかりません。慌ててGoogleマップで調べたら、我が家のマンションは海から1kmくらいしかないことが分かり、慌ててザックにオムツとミルクを押し込みました。最終的には、周りの住宅の様子を見て判断してしまいました。誰も避難している様子がなかったので、そのまま待機しました。これぞまさに「社会的証明」です。もし本当に大きな津波が来たらどうなっていたかと思うと、背筋が寒くなります。


KOL audience / loop_oh

社会的証明の力から逃げるために

「大変だ、発作が起きたんだ!」
何人もの人がそばを通り過ぎていきますが、注意を向ける人はほとんどいません。あなたが変な様子で木を背にへたりこんでいることや、表情がおかしいことに気づく人も少しはいます。

しかし、周囲の社会的証拠を検討すると、関心を示す人が誰も居ないことがわかりますから、具合が悪いわけではなかったのだと確信して、そのまま通り過ぎていってしまいます。

大勢の人が居る中で、急に具合が悪くなっても、誰かが助けてくれるとはかぎりません。周りの人は、明らかに変だな?と思いつつも、周りが特に反応していないので、社会的証明により無視するのです。

これまで見てきた研究結果に基づいてアドバイスをするとなれば、群集から一人の人間を分離しなさい、ということになるでしょう。

その人だけを見つめ、話しかけ、まっすぐに指をさし、他の人は無視するのです。「あなた、そう、そこのブルーのジャケットを着ている方です。助けてください。救急車を呼んでください。」

その一言が、ブルーのジャケットを着ている人に「救助者」の役割の担わせることになるのです。

助かるためには、恥ずかしいなど考えずに、誰か一人を指差して、「あなた、助けて!!」と叫ぶのです。社会的証明を打ち破るには、集団から分離して個人としての判断をしてもらうしかありません。

この例から考えると、何事においても、自らの判断基準で行動することが必要だということがわかります。社会的証明という人間の弱さを理解しておくことは、有事の際に的確な判断をするための手助けになるはずです。

※本書は、幾つかの記事に分けて紹介します
書くことで「夢」を実現できる理由

今日のわかった

静岡は海に面していて、東海地震のリスクも極めて高い土地です。静岡県人の初動が遅い県民性はよく知られています。周りの動きに惑わされないようにしないとです。

読書2011
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