ソーシャル時代では「知り合い」を大切にすべき理由

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昨年秋に読んだ「ソーシャルメディア維新」から約半年経ちました。Facebookもようやく市民権を得て、役者は揃いました。そのタイミングでオガワカズヒロ本の最新刊の登場です。

Facebookマーケティング

ソーシャルメディアの力が、本格的に活用されつつあります。特にフェイスブックの利用者は他のSNSに比べてまだ少ないので、始めるなら今のうちです。フェイスブック、そして、ソーシャルメディアの本質的かつ最新の情報を知りたい方には、本書を一読しておくことをお勧めします。


Slide55 / cambodia4kidsorg

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ソーシャルメディアが主役の時代へ

いまやインターネットのトラフィックの発生源は、検索エンジンから明らかにソーシャルメディアに移りつつある。つまり、インターネットのトラフィックがソーシャル化したということだ。

検索結果上位に出るよりも、多くのユーザーのクチコミに乗り、ソーシャルメディア上に自社の指定したリンクを多く掲載してもらうこと(つまりSMOによるトラフィック誘導)を考えることこそが、ソーシャル化されたインターネットマーケティングであり、最善のソーシャルメディアマーケティングの代表的な手法となるのである。

人々が商品を買う際の決め手は、「知り合いからのクチコミ」です。これまでのように、検索エンジンで色々情報を調べてから、ショップへ向かうのではなくて、ソーシャルメディアのクチコミを見て、検索エンジンを経由せずに、直接ショップへ移動しているケースが増えているといえます。

もちろん、ショップを探すために検索エンジンを利用するケースは残っていますが、通販では巨大モールを利用すれば、何でも揃うことを消費者は知っていますので、検索エンジン利用するケースは今後も減っていくでしょう。全世界のFacebookの滞在時間は、Googleを上回っているという事実からも明らかです。

検索エンジンは大量のスパムに悩まされているそうです。大量に自動生産され続けるスパムページで汚染されたハイパーリンク空間から、本当に価値のあるページだけを、拾い上げなければなりません。
検索エンジンは、ヘドロの海から、ザルで小さな指輪をすくい上げるような、気が遠くなる作業を繰り返しています。このままでは、リソースをいくら追加したところで、イタチごっこは永遠に続くでしょう。

via: SEO終了のお知らせ

Googleは、指数関数的に増え続けるウェブの情報を集めて精査するのに、多大な苦労を強いられています。検索エンジンのアルゴリズムの裏をかいたスパムサイトの量産が横行する中、複雑な計算をして、価値のある情報をピックアップしています。

グーグルとBingは、TwitterやFacebookで共有されたリンクが検索順位に直接影響することを認めた。

via: TwitterやFacebookで共有されたリンクが検索順位に直接影響する――グーグルとBingが明言

しかし、Googleがどんなに高尚な理論を駆使して情報をピックアップしても、「知り合いからのクチコミ」の信用力を上回ることは難しいです。実際にGoogleは、ソーシャルメディア上の情報を、検索アルゴリズムに利用し始めています。

ソーシャルメディア上の情報の信用度が高い理由は、ソーシャルメディア上で発信した情報は個人IDに紐づけられるため、下手な情報を流すと、それは個人の信用の失墜に繋がるからです。

ソーシャルメディア上で無差別に繋がる行為は禁物です。知らない人が反ソーシャル的な行動を起こしていれば、繋がっているだけで、自分もその仲間と判断されてしまうからです。検索エンジンでは星の数ほどのウェブサイトと、その間に張り巡らされた無数のリンクグラフを解析しています。人口100億の地球上の人間のソーシャルグラフを解析することぐらい、現代の技術では朝飯前です。

実名主義のFacebookはともかく、Twitterは匿名でいくらでもアカウントを作れるとの反論はあると思います。ある程度の期間利用して、知り合いのフォロアーもついたアカウントで、スパム行為をする勇気のある人は少ないと思います。人間は知り合いの目を最も恐れる生き物です。


Slide75 / cambodia4kidsorg

すべてをソーシャルメディアに落とし込め!

自社サイトをソーシャル化するというのは、どういうことか。

具体的にはソーシャルプラグインを利用して、自社のオフィシャルサイトやECサイトが「いいね!」ボタンを設置したり、Facebookのソーシャルグラフを利用して企業や商品・サービスのおすすめを促す機能を持つことをさすといっていい。

ソーシャルメディア上でクチコミされるには、最低限でもブログやウェブサイトをソーシャル化しておくことです。「いいね」ボタンと、「RT(リツイート)」ボタンを設置しておけば、フェイルブックとツイッターに情報が流れやすくなります。ボタンを設置するだけで、自社サイトへのアクセスが1アクセスでも増えるのであれば、今すぐに実施すべきでしょう。

「いいね!」「RT」で情報を拡散してもらうだけではなくて、フォローしてもらう、つまり「リピーター」になってもらうことが重要です。一時の出会いで終わらせずに、フォローしてもらって継続的な関係を築けることが、ソーシャルメディア・マーケティングの最大の武器だからです。ソーシャルメディアを受け皿にして、漏らさず受け止めるのです。「穴の開いたバケツに水をためる」ようなマーケティングは、これからは考える必要はありません。

ただし、フェイスブックの個人アカウントは5000人までしか登録できませんので、Facebookページ(以前は「ファンページ」)を利用します。Facebookページは誰でも作ることができますし、数に制限がありません。


Slide35 / cambodia4kidsorg

ソーシャルメディアの強みと弱み

企業がソーシャルメディアの力を実感するにつれ、一方でその弱みも実感することになる。弱みとは、アテンション(注目)を獲得する力だ。その弱みと補強方法については同署の中でも指摘している。だが、それを身を持って体感できるのは、実際にソーシャルメディアマーケティングに取り組んでみてからだ。

ソーシャルメディアは、すでに盛り上がっているものをさらに盛り上げることは得意ですが、ゼロの状態から盛り上げていくことはあまり得意ではありません。もちろん不可能ではないのですが、不確定な上に時間がかかることが多いです。

最初の起爆剤としては、マスメディア(テレビ・ラジオなど)の力を借りて、アテンションを獲得して、ソーシャルメディアを受け皿する方法がベストでしょう。実は、ソーシャルメディアは、マスメディアとの相性が良くて、お互いを補完し合える関係にあります。

ツイッター、フェイスブック、タンブラーといったソーシャルメディアが幅を利かしてきている現在では、「ブログ」が相対的に取り残されたように見えるかもしれません。私は、ブログの存在が、これまで以上に重要になっていくと考えています。なぜなら…。ソーシャルメディアは、コンテンツを伝播させることは得意ですが、コンテンツを生み出すことは苦手だからです。

via: ソーシャル時代において「ブログ」の重要性がさらに増す理由

ソーシャルメディアには表現の制限があるため、コンテンツ配信には不向きです。そこで最近見直されてきているのが「ブログ」です。ブログは表現力に制限がなく、コンテンツ配信には最適なツールです。その反面、コメント欄やトラックバックといったコミュニケーション機能は、スパムのターゲットになってしまい、ほとんど機能していません。

ブログの内容はRSSフィードやTwitterを使って広く伝播させるように配信するのがベストかもしれない。

(中略)

Twitterの普及によって、図らずとも理想的な双方向的情報配信ツールが実現した。僕達にとってのTwitterは、いまや双方向性を持つRSSフィードだ。

そこで現れたのがツイッターです。ツイッターはブログの情報を拡散させるとともに、リツイートを通し双方向コミュニケーションを取ることができます。

フェイスブックも、コメント欄とフェイスブックを連動したパーツを公開しています。当ブログでも利用しています。ブログから発信された情報は、ソーシャルメディアお得意のバイラル拡散で一気に拡大させることが可能になりました。ブログとソーシャルメディアがお互いの弱点を補完しあって相乗効果を発揮しているのです。

ソーシャルメディアは、既存のメディア、ツールの隙間を埋めてくれるような存在です。細胞の間の体液や血液のように、バラバラに存在していたものを一まとめにして、お互いが補完しあうことで、情報空間の最適化がされつつあるのです。


Slide64 / cambodia4kidsorg

アテンション(注目)を獲得する方法

アテンションを発生しにくいと言われるソーシャルメディアですが、クチコミを発生できるものが2つあります。一つは「ソーシャルブックマーク」です。日本でははてなブックマークが有名です。

ブックマーカーの関心に左右されてしまうのと、バイラルの持続時間が短いのが弱点ですが、上手く回れば、他のニュースサイトなどにも転載されて、大きな注目を得ることができます。

およそ24時間から72時間の短時間に、多いものになると数万というクーポンを完売させてしまう。なぜそんなことができてしまうのか?それがFacebookのソーシャルグラフの力、Twitterのリアルタイムな情報伝播の力なのだ。

もう一つは、クーポンサービスです。クーポンは一定数の購入者が居ないと、クーポンが成立しないため、購入した人があらゆる手を駆使して、クーポンの存在を周囲に知らせようとします。その時に有効なのがソーシャルメディアです。クーポンはお得なものが多いので、ソーシャル上でバイラルして、注目されやすい性質を持っています。

特に、アテンションを獲得するチャンスが少ない地方で、クーポンは絶大な力を発揮します。地方だと選挙や甲子園くらいしか話題がありません。クーポンサービスは地方アテンションの起爆剤となるでしょう。


friends. / Linzi-Maia Clark

目的は「知り合いになること」

冒頭で述べたように、人々は知り合いからのクチコミを信用します。ソーシャルメディアを利用したマーケティグとは、ずばり「いかに知り合いになるか」です。

とはいっても、闇雲にフォロアーやfriendを増やせば良いというわけではありません。「なぜTwitterで何万人にフォローされていても一万人以上フォローしている人は カッコ悪い人なのか?」でも言われているように、やたらフォロー・フォロアー数が多い人は、逆に怪しく見られてしまいます。たまたまご縁があった人と、一回きりの交流で終わらせずに、ソーシャルの交流につなげて、じっくり知り合いになっていく姿勢が大切です。

初めて会うお客さんでも、ソーシャルメディア上の履歴を見れば、趣味や興味、最近の買い物などの情報を調べることができます。そして、お客さんになった人と、ソーシャルメディアを通じて、その後も繋がることができます。現に私も床屋のお兄さんとは、ソーシャルメディアでも交流しています。

そもそもネット上の消費者は売り込みを好まない。もともとインターネットには商業主義を否定する気分があるし、まして、ユーザー同士の関係性がフラットな、ソーシャルメディアという、友達同士の会話の場において、企業がそこに入り込むという違和感を、払拭してもらうのは難しい

店員とお客さんの関係ではなくて、「知り合い」になってしまえば、障壁がなくなります。お客さんの方も、知っている人から購入したい、知らない人からは売り込まれたくないと思っているからです。つまり「リピーター」になってくれるのです。

リピーターさんは、クチコミで知り合いに紹介してくれます。「第三者の意見」は、最強のクチコミです。ソーシャルメディアからのトラフィックは、多くがクチコミからのアクセスと考えられるので、今後、評価が高くなっていくでしょう。


Shephard Fairey’s Angela Davis (Boston, MA) / takomabibelot

多重人格&匿名主義の終焉

Facebookが過激なまでに実名主義を貫き通しており、ネット上で複数のペルソナを使い分けることを許してくれない。そういうソーシャル化が今後も激しく進むだとう。我々は実は既に、いままでとはまったく異なる世界にいるのかもしれない

集客のメインがSEOだったころは、ジャンルごとに特化した複数のブログを運営することが、ネットでは一番効率の良いマーケティングでした。テーマを絞った方がSEOがしやすいからです。ところが、ソーシャル化が進んだ現在では、情報よりも「情報元の信用」の方が重要になってきています。

信用を蓄積するには、長い年月と地道な活動が必要です。複数のブログを運営すると、パワーが分散されてしまい、書き手に信用が効率よく蓄積されません。読み手の側からしても、ブログが分割されていると、書き手のイメージが固定化しづらいデメリットもあります。

フェイスブックは一個人一アカウントで実名登録を徹底しています。そのかわり、Facebookページについては、開設する数に制限はありません。人間性については個人アカウントで、専門的な話題に関しては、Facebookページに蓄積していく方法を、フェイスブックは用意いています。

ブログも個人的なブログを一つに絞って更新して、専門的な内容に関してはミニサイトにまとめる方法が、効率が良いです。ここの「ミニサイト」とは、ブログのように日々更新するものではなくて、あるテーマについて論理的な構成でまとめた情報サイトのことです。日々の更新は個人ブログで行って、内容が溜まってきたら、ミニサイトにスピンアウトさせるイメージです。

ネット上で匿名でできることは、だんだん少なくなっているといえます。匿名であれば、なにかオイタをしても、新しいハンドルネームで復活することができます。しかし、これからの匿名が通用しにくいソーシャル社会では、一度失敗したら、実質的に二度と復活できないかもしれません。

それだけ、ネット上でも真摯で人間的な行動と態度が求められてくるということです。実社会における当たり前のルールが、そのままネット上でも適用されるだけですので、常識的な行動をしている人にとっては、特に不都合はありませんが、ネット上での顔を使い分けていた人には、やりづらい時代が来たといってもいいでしょう。

※一部修正しました

今日のわかった

私は一応、ちょっとしたオイタはあったものの、ほぼ常識の範囲内で行動してきたと思っているのですが…^^ 多くの人とじっくり知り合っていきたいです。

読書2011
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